Lens Impressions
Askania 社は1871年に独ベルリンのLinien通り 185でその産声を上げました。設立したのはCarl Bambergで父親は時計職人でツァイス社を創業したCarl
Zeissの弟子であった人物のようです。彼の会社は航海、天文、測地などの分野で精密機器を製造し、卓越した技術革新と信頼できる技術で高い評価を得、、海軍や天文台も顧客でした。
Carl自身は1892年に44歳の若さで亡くなりますが、妻のEmmaとまだ未成年であったPaul Adolf Bambergが事業を引き継ぎます。
第一次世界大戦中、同社は帝国海軍のサプライヤーとして潜水艦のコンパス、距離計、照準装置、さらには映画用のフィルムカメラまで提供しています。
1921年にデッサウのガス会社Central Workshop for Gas Appliances GmbHと合併し、ブランデンブルクとザクセン地方の貴族の名前をとって、Askania
WerkeAktiengesellschaftとなりました。
1920年代以降、映画用のカメラ、映写機、ステレオスコープカメラなどの分野で業務を拡大し、1935年には世界初のポータブルショルダーカメラも開発し、1936年のベルリンオリンピックでは競技記録に使用されるとともに、第二次大戦中は戦意高揚のためのニュース映像の記録にも使用されています。
第二次大戦の敗戦と、その後の映画用カメラの競争激化により、一世を風靡したAskaniaの名前は、いつの間にか人々の記憶からは薄れていきます。
1970年代半ば、業績不振からSiemens社に吸収され、現在は旧Carl Zeiss Jena製の顕微鏡のメンテナンスなどを主な業務とするラーテノーのMikroskop
Technik Rathenow GmbHにその商標が引き継がれています。
さらに2006年、Leonhard R. MullerはAskaniaブランドをCarl Bambergの父親からの血脈である時計分野で復活させ、現在も精密な腕時計などを作り続けています。
この28mmレンズはおそらく映画用カメラから取り外されたものと思われますが、他に同様の短焦点レンズを見たことがなく、詳細は不明です。
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